大学院自習室

筆者が学生時代に作成した記事の置き場です。

『租税判例百選[第7版]』における納税者勝訴率に関する調査

この記事は,別冊ジュリスト『租税判例百選[第7版]』に掲載されている判例について,その裁判結果を納税者勝訴率に着目して調査したものである。単に勝訴率の集計を行ったほか,裁判所別・争点別の勝訴率も集計した。

本稿の構成は次の通りである。

 

<目次>

Ⅲ調査結果
Ⅰ調査のきっかけ
Ⅱ調査の目的・方法
Ⅳ結果の検討
Ⅴ注意点

 

この記事においてもっとも意味のある記述となる「調査結果」を先に示してある。余裕があれば,その後の文章にも目を通していただけると幸いである。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Ⅲ調査結果

1 裁判結果

租税判例百選[第7版]・裁判の結果

〇…納税者勝訴,●…納税者敗訴

事件番号 論点 地裁 高裁 最高   事件番号 論点 地裁 高裁 最高
1 序説   65 年度帰属
2 序説   66 年度帰属
3 序説   67 年度帰属
4 序説 該当なし   68 年度帰属
5 序説   69 年度帰属 該当なし
6 序説   70 国際課税 該当なし
7 序説   71 国際課税
8 序説 該当なし 該当なし   72 国際課税 該当なし
9 序説 該当なし   73 国際課税 該当なし
10 序説   74 国際課税
11 序説 該当なし 該当なし   75 国際課税
12 序説   76 国際課税 該当なし 該当なし
13 序説   77 国際課税 該当なし
14 序説   78 国際課税 該当なし 該当なし
15 序説 該当なし 該当なし   79 相続
16 序説   80 相続
17 序説   81 相続
18 序説 該当なし   82 相続 該当なし
19 序説   83 相続
20 序説   84 相続 該当なし
21 総論   85 相続
22 総論   86 相続 該当なし
23 総論   87 相続 該当なし
24 総論   88 消費 該当なし 該当なし
25 総論   89 消費 該当なし 該当なし
26 総論   90 消費
27 総論   91 消費 該当なし
28 総論 該当なし   92 消費 該当なし
29 総論   93 消費 該当なし
30 所得   94 消費
31 所得   95 固定資産
32 所得   96 固定資産
33 所得   97 固定資産
34 所得   98 固定資産
35 所得 該当なし 該当なし   99 固定資産
36 所得 該当なし   100 実体法他
37 所得 該当なし   101 実体法他
38 所得   102 実体法他
39 所得   103 実体法他
40 所得   104 手続
41 所得   105 手続
42 所得   106 手続
43 所得 該当なし   107 手続
44 所得   108 手続
45 所得   109 手続
46 所得   110 手続
47 所得   111 手続
48 所得   112 手続
49 所得   113 手続
50 所得   114 手続
51 法人   115 手続
52 法人   116 手続
53 法人 該当なし   117 手続
54 法人   118 手続
55 法人   119 争訟
56 法人   120 争訟
57 法人   121 争訟
58 法人   122 争訟
59 法人 該当なし   123 処罰
60 法人 該当なし   124 処罰
61 法人 該当なし   125 処罰
62 法人 該当なし   126 処罰
63 法人 該当なし            
64 法人            

2 集計結果

(1)裁判所分類別の集計結果
  納税者勝訴 納税者敗訴 該当なし 勝訴率
地裁判決(第一審) 52 74 0 41.27%
高裁判決(第二審) 34 84 8 28.81%
最高裁判決 34 59 33 36.56%
合計 120 217 41 35.61%
         
最終判断* 46 80 0 36.51%

*各事件の最終的な勝敗

(2)論点別の集計結果
論点 勝訴率   論点 勝訴率
序説 35%   消費 14.28%
総論 44.44%   固定資産 80%
所得 28.57%   実体法他 50%
法人 42.85%   手続 40%
年度帰属 0.00%   争訟 50%
国際課税 55.55%   処罰 25%
相続 22.22%      

Ⅰ調査のきっかけ

今日では,納税者の税務訴訟での勝訴率は,5-15%と低い水準で推移している。

ところが,筆者が税法を勉強するようになり,教科書や判例集,論文などから様々な判例に触れる機会がでてくると,納税者が勝訴していることが多々あり,とても5-15%のような水準にあるとは思えなかった。

とくに,大学院の演習では,「租税判例百選」に掲載されている判例を検討する「判例報告」がメインで行われているが,納税者勝訴は全然珍しいことではなかった。

そこで,大学院で扱われるような判例は,実際どの程度納税者が勝訴しているのか把握したいと考え,本調査を行うこととした。

注 筆者は本稿執筆当時,大学院で税法を専攻する大学院生である。

Ⅱ調査の目的・方法

一般に大学院の講義などで扱われる,いわゆる重要判例と呼ばれるものについて,納税者の勝訴率はどの程度であるか把握することが本調査の目的である。

調査手順は極めて単純である。すなわち,租税判例百選の掲載判例について裁判所の判断を読み取り,その裁判の結果をエクセルにまとめるというものである。裁判結果については,次のように整理した。

・「納税者勝訴」「納税者敗訴」「該当なし」の3つに分類する。

・納税者の一部勝訴は原則として「納税者勝訴」に含める。

・百選に記述がないなどの理由から,一部上記原則のようになっていないものもある。

・「該当なし」には,控訴・上告をしなかったことにより裁判結果が存在しないもののほか,上告不受理となったもの,係争中のものなどを含む。

さいごに,調査結果を示し,若干の考察をすることとしたい。ただし,あくまで結果を示すのみにとどめ,その結果が生じた理由等については,ここでは検討していない。

Ⅳ結果の検討

1 総説

百選に掲載されている判例126事件について調査した結果,全体としての納税者勝訴率は35.61%となった。これは,税務訴訟全体の納税者勝訴率である10%程度に比べて明らかに高い水準である。

したがって,百選に掲載されるような重判例については,そうでないものを含めた全体のものよりも勝訴率が高いという当初の仮説は正しかったことが示された。

2 裁判所分類別の集計結果について

裁判所別の結果を見ると,納税者勝訴率の高い順に,地裁>最高裁>高裁となった。高裁での納税者勝訴率の低さが特徴的であった。

また,百選に掲載されているだけあって,最高裁まで持ち込まれているものが多かった。

3 論点別の集計結果について

裁判の争点となった税法上の論点別にも集計を行った。論点により納税者の勝ちやすさに変化が生じるのか検討するためである。なお,論点の分類については,「百選」に倣った。

勝訴率が最も高かったのは,「固定資産」で80%であった。次が,「国際課税」であり55%程度,その後「実体法他」「争訟」が50%で続いた。

「固定資産」「実体法他」「争訟」については,いずれも該当が5事件以下であり,何かを判断するにはデータが少ないといえよう。しかし,「国際課税」は9事件あり,一定程度結果に信頼がおけよう。勝訴率の高さも何となく想像ができるところであろう。

国税三法の中では,法人税の勝訴率が最も高かった。

Ⅴ注意点

1 調査結果について

Ⅲで示した調査結果は,筆者が百選を読み取り判断しただけのものである。作業はひとりで行われ,判旨にほとんど目を通さずに作業した箇所も多い。したがって,この結果自体にミスがある可能性があり,正確かと言われると自信がない。

調査結果の大枠に影響はないと思われるが,もし個別の判断で違和感を覚えた場合には,筆者を疑っていただくようにお願いしたい。

2 標本の偏りについて

本調査では,重要判例についての勝敗の調査が目的であり,本来であれば,筆者が普段使用する教科書,参考書,判例集から一定の基準を設けて抽出することが望ましいのであった。

しかし,筆者ひとりで作業を行わなければならないうえに,本調査ごときにそのような手間をかけるのも惜しかったので,ここでは重要判例が厳選されてよくまとまっている「租税判例百選」のみを使用することにした(それでもそれなりの労力を要した。)

したがって,調査の目的に対し,調査した標本の選定が不適切であった可能性がある。

そもそも,「重要判例」とは何か,という問題もあるし,その納税者勝訴率に何の意味があるかという疑問も当然であろうが,筆者はそのいずれにも答えられない。

 

3 結果の考察が行われていないことについて

本調査では,調査結果として様々なデータを示した。このうち,論点ごとの勝訴率をみても大きな違いがあるように,結果の違いには何か理由がありそうである。 

ところが,本調査ではそれらについての考察を試みていない。こうした理由としては,①2で指摘したように標本自体に偏りがある,②論点によっては標本の数が小さい,などの点からこれを断念したものである。 

この点は今後の課題としたい。

 

なお,もし何か気付いたことがある方は,コメントからぜひ教えていただけるとありがたい。

 

4 今回使用した「百選」について

判例報告資料の書き方(租税法)

この記事は,法学部のゼミ・演習等で行われる判例報告資料の作り方を,ポイントとともにお伝えするものです。

これから判例報告を初めてされるという方のお役に立てば幸いです。

なお,この記事は,租税法の判例を前提としています。ほかの法律である場合や,指導教員によっても報告の仕方は変わると思われますので,その点はご了承ください。

この記事の構成は次のようになっています。

1 総説 判例報告の作り方をポイントとともに整理しています。

2 報告資料例 判例報告の一例を載せています。

 

1 総説

判例報告のアウトラインは,次に示すような感じです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<タイトル・事件番号等>

Ⅰ 事案の概要 ……(1頁)

Ⅱ 争点・当事者の主張 ……(1頁)

・争点

・原告(納税者側)の主張

・被告(課税庁側)の主張

Ⅲ 裁判所の判断 ……(1頁×判決数)

・地裁判決

・高裁判決

最高裁判決

Ⅳ 検討 ……(3頁)

・問題の所在

・学説

私見

Ⅴ 関係法令等

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

それぞれの項目で,大まかな分量の目安をかっこ書きで示してあります。なお,関係法令については,分量の計算上無視しています。

 

もちろん,事件によっては,事案が複雑で説明を多く要したり,争点が複数あって「当事者の主張」や「検討」のボリュームが多くなったりと,分量について一概にいうことはできません。あくまで目安として参考にする分には,このくらいがちょうどいいかなと私は考えています。

 

2 報告資料例

判例報告資料の作成の仕方をより具体的に説明するために,実際の判例報告にコメントを入れていく形で説明しようと思います。

報告資料部分は黒で,コメント部分は青で入れてあります。

 

なお,注意点ですが,これは私が税法を勉強したての頃に作成した報告資料をほぼ変更なしで貼り付けたものです。したがって,内容に不十分な点もあると思われ,これをそのままコピペして提出してしまうとゼミ等で指導教員からいろいろ突っ込まれても文句は言えません。判例報告資料を作成される場合は,ご自身の力で作った方がいいと思います。

 

形式面については,できるだけミスがないようチェックしたつもりです。主に形式的な面で資料作成方法の参考にしていただければ幸いです。

 

ではいきます。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

202X年X月X日

○○ゼミ

 名前

 

免税事業者の課税売上高

 

  • 最判平成17年2月1日民集59巻2号245頁
  • 東京高判平成12年1月13日民集59巻2号307頁
  • 東京地判平成11年1月29日民集59巻2号296頁

   ↑裁判所・日付・収録文献をいれます。

Ⅰ 事案の概要

株式会社X(原告・控訴人・上告人)は,平成5年10月1日から同6年9月30日までの課税期間(以下,「本件課税期間」という。)の消費税について,本件課税期間に係る基準期間 (同3年10月1日から同4年9月30日までの課税期間。以下,「本件基準期間」という。)における課税売上高が3000万円以下であるとし,本件課税期間において消費税法(以下,「法」という。)9条1項の規定により消費税を納める義務を免除される事業者(以下,「免税事業者」という。)に該当するとして,申告をしなかった。

本件基準期間におけるXの売上総額は実際には3052万9410円であったが,Xは,本件基準期間において免税事業者に該当しており,課税売上高の算定上,納税義務を免除される消費税に相当する額が上記売上総額から控除されるべきであるとの見解を採っていた。この見解によれば,本件基準期間におけるXの課税売上高は計算上3000万円以下となるため,Xは,本件課税期間においても免税事業者に該当すると判断し,本件課税期間の消費税について申告をしなかったものである。

税務署長Y(被告・被控訴人・被上告人)は,平成7年11月28日付けで,Xが本件課税期間にて免税事業者に該当しないとして,本件課税期間のXの消費税の決定及び無申告加算税の賦課決定をした。

Xは,Yに対し,本件決定が違法であるとしてその取消しを求めた。

【!】租税判例は、納税者をX、課税庁をYで統一します。

Ⅱ 争点・当事者の主張

 本件の争点は,免税事業者についても,基準期間における課税売上高の計算に際して課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額に相当する額を控除すべきか否かにある。

 

(1)Xの主張

 免税事業者が行う課税資産の譲渡等についても,消費税が課され,単に納税義務が免除されるにすぎないから,基準期間の課税売上高の計算においては,法9条2項1号に従い,売上総額から免税事業者が納付すべき消費税額に相当する額を控除すべきである。

 法9条1項は,基準期間における課税売上高が3000万円以下である者については,消費税を納める義務を免除すると規定し,この課税売上高とは,法9条2項によれば,基準期間中に国内において行った課税資産の譲渡等の対価の額から,売上げに係る税抜対価の返還等の金額を控除した残額をいう。そして,法28条1項は,課税資産の譲渡等の対価の額とは課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税に相当する額を含まないものとする,と規定している。したがって,基準期間において課税事業者であったか免税事業者であったかにかかわらず,売上高から課されるべき消費税に相当する額を控除した金額をもって,免税事業者に当たるかどうかを判定するのが,文理上自然な解釈である。

このことは,法4条1項が免税事業者と課税事業者とを区別することなく「事業者が行った資産の譲渡等には,消費税を課する。」と規定し,法9条1項が法6条1項とは異なり,「消費税を納める義務を免除する」と規定して,いったん発生した義務を課税期間終了後事後的に消滅させる意味の「免除」という用語を使っていること,法9条2項は,小規模事業者が免税事業者に当たるか否かを判定する規定であるが,法28条1項を借用して「課されるべき消費税に相当する額」を控除する旨定めているのであり,控除すべき「課されるべき消費税に相当する額」が存在しない場合をも予定しているとは考えられないことからも明らかである。

 

(2)Yの主張

免税事業者は,納税義務を免除され,法に規定する納税義務を前提とした諸規定の適用を受けないことになり,免税事業者が行う課税資産の譲渡について課されるべき消費税は存しないから,基準期間の課税売上高の計算において,売上総額から控除すべき消費税額に相当する額はない。

免税事業者には,申告を前提とする消費税の納付義務も発生しない。したがって,免税事業者の行う資産の取渡等の対価の額の中には免税事業者が納付すべき消費税額に相当する額,すなわち「課されるべき消費税額に相当する額」は含まれていない。したがって,本件基準期間において免税事業者であった原告の課税売上高の計算においては,除外されるべき「消費税額に相当する」は存しなかったことになる。

法4条は課税対象について規定し,納税義務者は法5条の規定するところであるが,法9条1項は法5条の例外として免税事業者を規定するものであるから,免税事業者には納税義務が免除されているのであって,納税義務を発生させた上でこれを免除するものではない。

 

Ⅲ 裁判所の判断

(1)第一審判決(請求棄却) ←結論を簡潔に書きます。

「法9条に規定する免税事業者の制度は,消費税の執行において生ずる種々の納税事務負担コストが相対的に高くつくものと考えられる小規模零細事業者に納税事務負担を軽減する趣旨に出たものであるが,その条文見出しのみならず同条の趣旨に照らして,法9条1項は法5条の規定により『消費税を納める義務』があるとされた者のうち免税事業者に該当する者について『第5条第1項の規定にかかわらず』『消費税を納める義務』を免除するもの,すなわち,法5条に規定された課税要件としての納税義務者の範囲を限定するものであって,発生した消費税を免除するものではないのである。仮に原告の主張するように,免税事業者についても法4条又は法5条によって課されるべき消費税についての納税義務が生じ,法9条によってこれが免除されるものとすれば,消費税の免税規定(法7条,8条)又は税額控除(法30条)と同様,法9条は法5条の規定に変更を加えるものではないことになるから,『第5条第1項の規定にかかわらず』との限定も不要となったはずである。

たしかに,『免除』との文言は,納税義務の存在を前提とするといえるが,法5条は課税要件としての納税義務者を規定し,その例外規定である法9条も課税要件としての納税義務者について法5条の例外を規定したものであり,課されるべき消費税の免除を規定するものではないのであるから,法9条は,所定の要件を具備した事業者を法5条に規定する納税義務者から除外するとの趣旨に解すべきものである。」

「したがって,納税義務者の範囲は,法5条により,『この法律により』との留保の下に広く事業者を含むことを原則とするが,法9条の規定により限定されているのであって,免税事業者にも法5条又は法4条によって消費税が課された上で法9条1項によって納税義務が免除されると解すべきものではない。」

「税抜売上総額は,(…中略…)法28条1項が課税標準であると規定する課税資産の譲渡等の対価の額を合計した金額である。ところで,課税標準の算出に当たり課税資産の譲渡等の対価の額から右譲渡等につき課されるべき消費税額に相当する額を控除する趣旨は,生産から流通を経て消費に至る過程において,課税資産の譲渡等に課される消費税はその代価中に転嫁されていくため, (…中略…)法28条1項にいう課税資産の譲渡等の対価として収受し,又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額の中には右譲渡等において譲受人に転嫁された消費税額に相当する額が含まれることになることから,課税標準の算出に当たっては,課税資産の譲渡等の対価の額から譲受人に転嫁された消費税額に相当する額を控除すべしとすることにある。

ところで,法9条1項は基準期間における課税売上高をもって免税事業者となるべき小規模事業者の区分の基準とし,同条2項は税抜売上総額から課税売上高を計算するものであるが,『課税資産の譲渡等の対価の額』の意義を法9条2項と法28条1項とで別異に解釈すべき理由はないのであるから,基準期間において免税事業者である者については課税標準を論ずる意味はないにしても,税抜売上総額とは売上総額から当該事業者の行った課税資産の譲渡等に課されるべき消費税額を控除した金額と解すべきである。」と判示した。

【!】かぎカッコ「」の中は裁判所の文章を完全にコピペです。中身をいじってはいけません。ただし、裁判所の文章の中のかぎカッコ「」は、二重かぎカッコ『』にします。

【!】裁判所の文章の途中を省略する場合は、(…中略…)、かっこ書き部分を省略するときは(…括弧内省略…)などとします。

 

(2)第二審判決(控訴棄却)

 「法4条1項(課税の対象)は,その文言及び見出しからみて,納税義務者を定めた規定ではなく,課税の対象(課税物件)を定めた規定である。納税義務者については,

 

(編集の都合上,中略しています。)

 

課税要件等の明確性が厳しく問われている現行の租税法規の下では、控訴人の言うような規定の文言から離れた解釈を採用することは困難であるといわざるをえない。」と判示した。

 

(3)最高裁判決(上告棄却)

「法9条1項に規定する『基準期間における課税売上高』とは,事業者が小規模事業者として消費税の納税義務を免除されるべきものに当たるかどうかを決定する基準であり,事業者の取引の規模を測定し,把握するためのものにほかならない。ところで,資産の譲渡等を課税の対象とする消費税の課税標準は,事業者が行う課税資産の譲渡等の対価の額であり(法28条1項),売上高と同様の概念であって,事業者が行う取引の規模を直接示すものである。そこで,法9条2項1号は,上記の課税売上高の意義について,消費税の課税標準を定める法28条1項の規定するところに基づいてこれを定義している。

すなわち,法9条2項1号は,上記の課税売上高とは,基準期間が1年である法人の場合,基準期間中に国内において行った課税資産の譲渡等の対価の額(法28条1項に規定する対価の額をいう。)の合計額から所定の金額を控除した残額をいうものと規定する。そして,同項は,『課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は,課税資産の譲渡等の対価の額(対価として収受し,又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税に相当する額を含まないものとする。)とする。』と規定する。

法28条1項の趣旨は,課税資産の譲渡等の対価として収受された金銭等の額の中には,当該資産の譲渡等の相手方に転嫁された消費税に相当するものが含まれることから,課税標準を定めるに当たって上記のとおりこれを控除することが相当であるというものである。したがって,消費税の納税義務を負わず,課税資産の譲渡等の相手方に対して自らに課される消費税に相当する額を転嫁すべき立場にない免税事業者については,消費税相当額を上記のとおり控除することは,法の予定しないところというべきである。

以上の法9条及び28条の趣旨,目的に照らせば,法9条2項に規定する『基準期間における課税売上高』を算定するに当たり,課税資産の譲渡等の対価の額に含まないものとされる『課されるべき消費税に相当する額』とは,基準期間に当たる課税期間について事業者に現実に課されることとなる消費税の額をいい,事業者が同条1項に該当するとして納税義務を免除される消費税の額を含まないと解するのが相当である。」(下線筆者)と判示した。

 ↑裁判所の文章で強調したい部分があるときは、このように下線をひきます。

Ⅳ 検討

1.問題の所在

・法9条と法28条はそれぞれ目的を異にする規定である。最高裁は,法9条において法28条を借用しているが,これはどのように解釈されるべきか。

・法9条1項が規定する免税事業者制度は,小規模零細事業者の事務負担を軽減するために導入された制度と説明される。小規模零細事業者に該当するかどうかの基準として事業規模を用いているが,ここにいう事業規模とは何か。

【!】ゼミ等で議論するうえで、一番大事な部分です。慎重に考えて書きます。

 

2.学説

(1)田中治氏[1](控除説)←主張を簡潔にまとめます。

 「9条1項は,冒頭に『事業者のうち』という文言を用いるだけである。規定上は,『課税事業者』又は『免税事業者』の用語は全く存在せず,免税事業者をどのように取り扱うべきかについて,法は沈黙しているというべきであろう。」と述べたうえで,免税事業者の取り扱いについて,「法は,基準期間における課税売上高の多寡によって,2年先の納税義務の存否を決めようとするのであるから,課税売上高の計算方法は当然に一つである。(…中略…)9条は,課税売上高の定義を直接しないで,28条1項の規定(課税標準の規定)をそのまま借用ないし転用したのであって,その計算方法をもって,基準期間において課税事業者と免税事業者とを区別することなく,判別しようとしたのである。」

 「私は,裁判所の意見とは異なり,前者の考え方がより妥当だと考える。(…中略…)『事業者』のうち『基準期間における課税売上高』が3000万円以下である者の2年後の納税義務を免除する』という定め方からすれば,法は,基準期間において課税事業者と免税事業者とを区別することを予定していない,というべきである。立法論としては,そのような区別は可能であろうが,明文の根拠規定なしに,そのような区別をすることは,法解釈の枠を超えた立法的な措置というべきであって,このような区分は,租税法律主義の観点からみて,相当の疑問がある。」

 

(2)金井恵美子[2]氏(非控除説)

 「消費税法は,最終消費者にその負担を求め,納税義務者である事業者が税負担を転嫁することを予定して設計されたものであるが,個々の取引において税の転嫁が実現したかどうかについては関与しない。取引額の算定に当たっては,課税事業者であっても消費税を上乗せできない場合があるが,それは,市場における価格形成の問題であり,実体法上,現実に上乗せして受領した税額があるかどうかにかかわらず,その課税期間において行った課税資産の譲渡等につき,収受した総額から計算上の税抜課税売上高を求める手法を採用している。

 税額を上乗せしたかどうか,取引当事者が税の存在を認識したかどうかは,税額計算に何らの影響も及ぼさないのである。

 法28条は,このことを表現するために『課されるべき消費税額に相当する額』という文言をおいたものと考えられる。

 課税標準は,納付すべき消費税額を計算する場合の基礎であり,課税事業者であることを前提にしている。(…中略…)したがって,『べき』という表現,『相当する額』という表現は,免税事業者について計算する場合を想定しておかれたものではなく,税額の計算の基礎となる現実に課税される取引については,当事者の認識がどうであろうと消費税は存在する,という意味で使用されているものであろう。」

【!】ここも、かぎカッコの中は完全にコピペです。

【!】私は、ここに挙げたものの他、2つの文献から引用し(それぞれ省略しています。)、合計4つの見解を載せました。引用する文献は、のちに検討しやすいように、選び方に工夫が必要です。例えば、同じ見解をしている文献をいくつも引用しても、あまり意味がありません。

 

[1] 田中治「判批」税理43巻6号(1999)15頁

[2] 金井恵美子「判批」月刊税務事例38巻1号(2006)16頁

 ↑引用した文献を脚注にいれます。なお、この事件についての判例評釈であれば、「判批」と省略して書いて構いません。

3.私見

 最高裁判決に賛成である。

(1)法28条1項の解釈について

法28条は,「課税資産の譲渡等につき課されるべき」と表現される文言を9条1項の規定に借用した場合には,その課税資産の譲渡等は基準期間におけるものと解するのが自然である。ここで,その基準期間において免税事業者は,「国内において行つた課税資産の譲渡等につき,……

 

報告者であるあなたの私見を書きます。以下省略します。

なお,「私見」については,A4サイズに普通の文字サイズで,だいたい1.3ページくらいのボリュームになりました。

 

Ⅴ 関係法令等

消費税法(平成15年法律第8号による改正前のもの) ←事件当時の条文をもってきます。

9条

 事業者のうち,その課税期間に係る基準期間における課税売上高が3000万円以下である者については,第5条第1項の規定にかかわらず,その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等につき,消費税を納める義務を免除する。ただし,この法律に別段の定めがある場合は,この限りでない。

2 前項に規定する基準期間における課税売上高とは,……

 

分量の都合により,以下省略します。

なお,「関係法令等」については,9条と28条(1項)を抜粋し,だいたい0.8ページくらいのボリュームになりました。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

以上です。

ここまでを全部合わせて、A4で10ページになりました。

 

[2022/07/05追記]

当ブログでは、裁判例等についてまとめた記事をいくつか書いています。それらの記事のリンクを以下に掲載しておきます。形式面が必ずしも判例報告用というわけではないですが、事例の整理の仕方等、参考になる点があるかもしれないです。

 

daigakuinjisyuusitu.hatenablog.com

 

daigakuinjisyuusitu.hatenablog.com

 

 

【書評】スタバではグランデを買え! 価格と生活の経済学 著者:吉本佳生

この本は,タイトルで「スタバではグランデを買え!」と,購入すべきドリンクのサイズを命令文で指示してくるという,インパクトのあるタイトルです。

 

しかし,本の内容については,サブタイトルにもあるように,経済学に関するもので,特段変なことが書いているわけではありませんでした。むしろ,一般の人向けに経済学のエッセンスを伝える良書だと思われました。

 

かねてよりこの本の存在は知っていましたが,特に理由もなく敬遠していました。ところが,最近(2021年です。)になってようやく読んでみることにしました。

読了したので,本の内容とともに,簡単に私の私見を述べていこうと思います。本稿をきっかけに,この本について興味を持っていただけたら,また,読むかどうか迷っている方の参考になれば幸いです。

 

本稿は,次のような構成となっています。

 

1 基本情報

2 概要・要旨

3 私見

4 最後に…「読むかどうか」

 

 

1 基本情報

 

 

著者:吉本佳生

 経済学者。ほかにも,著書がたくさんあるみたいです。

出版社:ダイヤモンド社

発売日:2007/9/13

ボリューム:284頁

 

2 概要・要旨

 

私たちが普段生活する中で,同じ商品なのに販売場所によって,その価格が変わっていることに気付くことがあります。本書では,ペットボトルのお茶を例として挙げていました。

 

私が調べてみたところでも,同じ商品であるペットボトルのお茶の価格が,

・自販機で買えば160円

・コンビニで買えば128円

・スーパーで買えば84円

・百円ショップで買えば108円

などと,価格が大きく違っていることがわかりました。

 

このように,同じ商品であっても異なる価格で販売されていることは珍しいことではないです。価格が大きく異なることも少なくないといえます。

 

では,それはなぜなのでしょうか。このことが,本書の全体を通した問題意識となっています。

 

そして,著者は,そういった価格の差を「コスト」に着目して説明しています。

 

例えば,先ほどの例のペットボトルのお茶であれば,スーパーで買うのが一番得なはずです。一方,自販機では,その倍近い値段で売られています。

 

直感的に考えられるように,スーパーと自販機では,買い物にかかる手間が異なります。自販機は比較的そこら中にあり,すぐにお茶を買うことができます。一方,スーパーはそこら中にあるわけではないので,買いに行くまでの移動時間がかかります。また,スーパーに行って,お茶を手に取って,レジを通って,…などという面倒くささもあります。

このように,スーパーは自販機に比べて,買い物にかかる手間(時間や労力)がかかります。

 

著者は,こうした時間や労力についても,広い意味での「コスト」としてとらえ,価格という意味での直接的な「コスト」と手間という広い意味での「コスト」を両方検討して,消費者はより有利な行動をとると述べています。

 

本書では,このほかにも,次に示すような問題についても検討しています(目次の一部抜粋)。

 

第1章 ペットボトルのお茶はコンビニとスーパーのどちらで買うべきか

第2章 テレビやデジカメの価格がだんだん安くなるのはなぜ?

第3章 大ヒット映画のDVD価格がどんどん下がるのはなぜか?

第4章 携帯電話の料金はなぜ、やたらに複雑なのか?

第5章 スターバックスではどのサイズのコーヒーを買うべきか?

 

ここに示したのはその一部で,ほかの問題についても論じており,それらについても一貫して,「コスト」に着目して説明をしています。

 

本書は,初版が2007年であり,携帯料金の話など若干話題が古くなっている感は否めません(消費税も5%時代)。しかし,その検討の根底にある経済理論は変わるものではないことから,初版からある程度時間が経過した今から読むとしても,本書の価値は変わらないであろうと思います。

 

3 私見

 

先ほど目次の抜粋でも示したように,本書は,経済学,特に価格の決まり方という観点から身の回りの身近な疑問にアプローチするという構成をとっています。

 

私は,一応大学で経済学を勉強していたので,「ああ,あのモデルにあてはめてるのね」と気付く場面もあり,「こう応用してきたか」みたいな読み方ができて,全体を通して面白く読むことができました。

 

ただし,学問として成立している経済学(経済理論)と現実の経済現象には一定の相違があるものです。

 

もちろん,それ自体は問題であるわけではありません。経済学自体が現実社会の具体的な現象を捨象して理論を組み立て,そのうえで得られる成果というものも大変多いからです。

ところが,一般書として,それを経済学初心者の読者でもついてこられるように説明しようとすると,やはりところどころ無理そうな(厳密さを欠くような)説明もあるようです。その点について指摘した書評もありました(注)

 

とはいえ,私の私見としては,学ぶことや思うところも多く,全体として満足のいく一冊でした。特に,本書の前半部分(おおむね,先ほど抜粋した目次の項目)は「なるほど」と思うところもしばしばあり,前半部分だけでも十分読んでよかったと思います。

 

4 最後に…「読むかどうか」

 

本書の著者は,

「私としては,『日本でふつうに暮らしているような生活者が,自分なりに楽しく生活するためには,経済の仕組みをどう理解したらいいのか?』を説明したいと考えて,本書を書」いたと述べています。

 

そして,本書の全体を通して,「これは経済学のこの部分が根底にあるな」と気付くことがあり(私の勉強不足のため,間違った納得の仕方をしているところもあると思います。),そうした基礎理論をもとに,身の回りの事象の説明を試みています。

 

例えば,コンビニ大手のローソンが,通常のコンビニ店舗と,いわゆる「百円ローソン」を展開しているが,これが商品の「仕入れ」の面で有利となっていますが,その理由についても,「価格差別」という考え方で説明しています。

 

このように,経済学の考え方を日常生活や企業の戦略に応用して説明しており,シンプルに考え方・発想法としても学ぶことが多いと考えます。

 

もちろん,その現実へのあてはめは,ざっくりとしたものになっている場合もあり,必ずしも厳密とは言えないかもしれませんが,本書の説明で十分使えるようになっているはずです。したがって,経済学の考え方を日常生活(や,あるいは仕事)に使ってみたいと考えている場合には,本書を読んでみる価値があると思います。

 

 

 

(注)[書評]スタバではグランデを買え! 価格と生活の経済学 (吉本佳生): 極東ブログ (cocolog-nifty.com)(最終確認日:2021年11月21日),ほか。

 

統計検定2級合格のための使用教材について

この記事は,統計検定2級に合格した筆者がその勉強方法をまとめたものです。

統計検定2級の学習をこれからされるという方は,よかったら参考にしてください。

なお,この記事は,筆者が合格までに使用した教材について中心に説明してあります。具体的な勉強の進め方については,この記事では扱っておりません。それはまた別の記事にするかもしれないです。 

 

留意点として,筆者の勉強には,

独学であった点

②学習時間が短かった点(約10日)

の2点の特徴があります。そのため,あくまで参考になる点だけ拾って読んでいただけると幸いです。

なお,試験はCBT方式で受験し,一発合格しているので,一定の再現性はあると思われます。

 

1 筆者の情報

勉強方法の説明に入る前に,筆者の情報と筆者の学習時の環境についてお話しておこうと思います。

 

筆者は大学院で法学を専攻とする大学院1年生です。学問の性質上,統計の知識を必要とすることはまずありませんが,自身の興味から学習を開始しました。

 

勉強開始は,大学院1年生の夏休みでした。したがって,一日中勉強に時間を充てることができました。

勉強開始時点では,大学レベルの統計の知識はほとんどゼロでした。学部の1年生の時に,教養科目の統計学を履修しましたが,その時の知識はきれいに抜け落ちていました。したがって,ほぼ一から勉強しなおしました。

ちなみに,このことはわりと想定外でした…

 

2 独学勉強・費用をかけない学習

筆者はもともと学部の時に一度勉強していたので,「2級くらい楽勝だ」くらいの思いで勉強を開始していたので,はじめから費用はかけないつもりでした。後々,それが間違いだと気づいたものの,もう方針転換もできませんでした。そういう経緯もあって,WebサイトやYouTubeを中心に勉強するスタイルで学習を進めていきました。

 

3 学習教材と進め方

ここからは,具体的な学習方法の説明に入ります。ステップ1からステップ4まで使用した教材を列挙しましたが,必ずしもこの順番で進めていったわけではありませんのでご了承ください。

 

ステップ1 YouTube 「統計チャンネル」

 

www.youtube.com

 

 

YouTubeのチャンネルである「統計チャンネル」は,私が勉強し始めて最初に見つけた教材です。

当時,独学で途方に暮れていた私は感動しました。

回帰分析など,「線形モデル分析」の分野は取り扱っていませんが,推定・検定など2級の重要論点が網羅的に解説してあります。

もちろん,すべて無料で見ることができます。

 

やはり,本で読むだけでなく,人が解説してくれているのを見ると,新しい知識の習得に対する抵抗感がぐっと下がります。

 

動画の特徴

・第1回~第50回まで50本の動画

・1本あたりの時間は10~20分程度

・動画の流れは,<論点の説明→設例→確認問題>の流れが多い印象

・全体的に解説が丁寧で,定理の証明や公式の導出もしてくれる

・難易度も,2級に十分対応可能

 

使い方

<インプット>

新しい論点に入るときに,一番最初に見るのがこの動画でした。

全体像把握,わかっていないところのあぶり出しに使いました。特に,私の場合は,「こんな論点,あったっけ」みたいな思い出しもここでできました。

ただし,いわゆるテスト用の練習問題などはなく,具体的な練習は「ステップ2」で行いました。

 

ステップ2  Webサイト 「統計WEB」

 

bellcurve.jp

 

 

次にご紹介するのは,インターネットサイトの「統計WEB」です。

こちらは,統計検定2級の範囲をほぼすべて網羅されており,2級対策はこれだけ見れば問題ないレベルで解説が充実しています。もはや,テキストはいらないといっても過言ではありません。

さらに,各論点に「練習問題」もついており,その解説も丁寧です。2級の対策がこのサイトだけで完結するほどのクオリティーです。

ネットでの評判もいいみたいです。私も,このサイトには大変お世話になりました。なお,(信じられないですが)このボリュームの教材をすべて無料で見ることができます。

 

使い方

<インプット><アウトプット>

・エクセルでまとめ

統計検定2級の学習範囲は多岐にわたり,学習ボリュームが多いので,自分がどこを勉強したのかを分かりやすくするために,進捗表をエクセルで作って管理しました。

表を作ってからも,勉強範囲が終わるたびにチェックしにいかないといけないので面倒でしたが,学習の進捗度合いが明瞭になるのでやってよかったと思います。

 

また,論点ごとに重要度を星0~3に分けていきました。全く重要でないものから☆0,☆1,・・・で、超重要なものが☆3といった感じです。

重要度はあくまで自分の主観とはいえ,やはり全体の中で重要な点が見えてきていいと思いました。また,星を付ける作業自体が,その内容を把握していないとできないので,勉強のやる気向上や気分転換にも少しは役立ちました。

 

・練習問題

統計WEBは「練習問題」が非常にいいので,ここで問題を解きまくりました。特に,推定・検定の重要度の高い論点の問題は,3回くらい解いていると思います。

 

ステップ3 テキスト 「統計学基礎」

 

 

 

 

次は,テキストです。統計検定の公式テキストが出ていたので,それを使用しました。

「費用はかけないのではなかったのか」とお思いの方もおられるかもしれませんが,これは今回統計学の勉強を始めるより前に,学部時代に購入していたものを引っ張り出して使用したものなので,どうかノーカンでお願いします。ただし,このテキストは購入しなくても問題ないと思います。

 

公式テキストであるため,試験範囲が網羅的に掲載されています。

しかし,分量的に重要度に応じたメリハリはなく,読みにくいといえます。結局何が大事かが読んだだけではわかりにくいので,ひとりで読もうとすると,そうとうきついと思います。

 

したがって,テキストを購入するなら,公式かどうかにかかわらず,自分の好きなものを買えばいいと思いますし,そもそも合格するだけでよければ,「統計WEB」で十分だと思います。

 

使い方

<アウトプット>

復習用,公式の確認,ノートまとめ(公式等の整理)用

紙の本なので,見たいときにさっと読んで確認できる点はいいと思います。

 

ステップ4 問題集 「公式問題集2015~2017年」

 

 

 

 

学習の区切り,試験の直前(前日,前々日)に使用しました。

過去問が6回分収録されています。この本も公式テキストと同じ経緯で入手したものですので,問題が古くなっています。ここの画像で示しているものは、最新のものを載せてますが,実際に私が使用した教材は古い版のものでした。

 

問題集は,テキストとは異なり,購入して取り組む価値があると思います。

「統計WEB」にも練習問題がありますが,やはり問題数が限られます。また,試験の形式や本試験の問題の傾向を把握するのも重要です。さらに,学習の途中で問題を解いて学習到達度を図りたくもなるものです。

このような点から,公式問題集を入手して,形式演習をしてみるのがいいと思います。

 

なお,留意点として,公式問題集は問題の傾向把握に便利ですが,CBT方式とは若干傾向が異なる点に注意が必要です。また,私は,お金をケチって古い問題集をそのまま使用していたのですが,傾向の把握などのためには,もちろん最新の問題集がいいと思います。

 

使い方

<アウトプット>

時間を計って,ひたすら問題を解きました。また,解いた問題は必ず復習しました。

ただし,同じ問題を全部解きなおした回は,一回あったかなかったかぐらいだったと思います。なお,6回分あったのに,時間の都合で結局3,4回分くらいしかできませんでした。

 

4 最後に

今回,この記事では,筆者が合格までに使用した教材について中心に説明しました。ステップ1からステップ4までの教材で,統計検定2級の対策は,独学でも十分できると思います。

特に,ステップ2の「統計WEB」はいい教材だと思います。これだけでも,一度チェックすることをお勧めします。

 

私は,ステップ1からステップ4までの教材を進めて,統計検定2級の合格に必要な実力を備えて試験に臨むことができました。

実をいうと,試験までの時間が足りな過ぎたことから,若干裏技のような学習方法で準備していったのですが,もしかしたらそのことも別の記事で書けるかもしれません。